このドキュメントは2016年2月15日にリリースされたZabbix 3.0.0のリリースノートの日本語訳です。
ダウンロードはZabbixダウンロードより行えます。
以下はリリースの詳細と、最新情報およびドキュメントを補足するその他情報について記載しています。
機能追加・改良
- Zabbix WEB インターフェースにおいて、その他の改善に伴うユーザビリティおよびユーザエクスペリエンスの大幅な改善が行われました。
- サーバ、プロキシおよびエージェントの通信に暗号化および認証のサポートが導入されました。証明書ベースおよび PSK 暗号化の両方が非暗号化された設定から簡単なアップグレードパスでサポートされます。サードパーティツールや VPN ソリューリョンを使う必要はもうありません。
- 新たなトリガー関数 timeleft() および forecast() による予測およびトレンド予知がサポートされるようになりました。これにより将来のアイテムの値を予測することが可能になります。また、いつアイテムの値が特定の閾値に到達するかを Zabbix が通知するようになります。
- 特定の時間にアイテムのチェックが行えるようになりました。Zabbix は個々のアイテムレベル毎に定義された豊富なスケジューリングオプションを提供します。
- マップ、スクリーンおよびスライドショーに柔軟な共有オプションが設定できるようになりました。
- トリガープロトタイプ間の依存関係が定義できるようになりました。トリガープロトタイプは同じローレベルディスカバリ (LLD) ルールからの別のトリガープロトタイプもしくは標準のトリガーに依存します。
- データベースクエリの数を削減することにより、トリガープロトタイプの処理が最適化されました。結果として、トリガー生成の処理が以前の半分の時間で行えるようになりました。
- ローレベルディスカバリ (LLD) によりアイテムプロトタイプから生成されたアイテムの論理的なグルーピングを手助けするために、発見されたアイテムをローレベルディスカバリのマクロ値に基づくアプリケーションへ割り当てることが可能になりました。
- 標準のアプリケーションへのリンクに対するオプションに加えて、アイテムプロトタイプの定義にアプリケーションプロトタイプ生成のためのオプションが追加されました。発見されたアイテムはアプリケーションプロトタイプに基づいて生成されたアプリケーションへリンクされます。
- SNMP ディスカバリにおいて複数の OID がサポートされるようになりました。
- ログアイテム (log、logrt および eventlog) およびアイテムプロトタイプが追加の output パラメータにより提供される可能性に従って (“Log” のみではなく) 任意のデータ型で保存可能になりました。これによりログアイテムの整数型 (“Numeric (unsigned)”) での保存が可能になり、グラフ化することもできます。
- 追加のコンテキストの導入によりユーザマクロに柔軟性が与えられました。
- マクロの解決を明白にするために、ホストおよびテンプレートの設定フォームにマクロ解決の詳細を含む新しいオプションが追加されました。
- 通知を送るためのメディアタイプとしての e-mail の設定に SMTP 認証オプションが追加されました。ハードコードされた 25 以外のサーバポートを指定することも可能です。
- 複数のエスカレーション処理がサポートされるようになりました。
- VMware 仮想マシン CPU の準備完了状態を監視するためのシンプルチェックが新たに追加されました。
- Microsoft Internet Explorer 8 に対するサポートが提供されなくなりました。
- いくつかのフロントエンドセクションにまたがるフィルタリングオプションの改善に引き続き、レポートの障害発生件数上位 100 項目に新しいフィルタが追加されました。以前はいくつかの定義済み期間によるフィルタリングのみが可能でしたが、現在はホストグループ、ホスト、深刻度、定義済み期間およびカスタム期間でのフィルタリングが可能です。
- マップ、スクリーンおよびスライドショーにもフィルタリングが導入されました。
- エンティティをまとめて編集する機能がドロップダウンからボタンに変更されました。以前のドロップダウンの選択をし Go をクリックするオプションは削除されました。これらの処理を元通りにするためのボタンはオプションの使用をより速く容易にすることが期待されます。
- web シナリオ定義でユーザエージェントに ‘Zabbix’ を選択できるようになりました。これは web サーバのアクセスログファイルで Zabbix から来るリクエストをフィルタリングするのに役に立ちます。フロントエンドおよび API では ‘Zabbix’ がデフォルトになります。
- 値のマッピングのインポート / エクスポートが可能になりました。”ホスト時間” オプションでのクロックスクリーン要素のインポート / エクスポートも可能になりました。
- Zabbix API に値のマッピングおよびトレンドのサポートが追加されました。
- 値のマッピングのリストにページング、複数処理、’アイテムで使用’ カラムが追加されました。
- ホストの一括編集フォームでインベントリモードを変更してもフォーム全体がリフレッシュされないようになりました。
- アグリゲートアイテムで 3 つめのパラメータ (itemfunc) が ‘last’ に設定されている場合、4 つめのパラメータ (timeperiod) が必須でなくなりました。
- “bytes” 単位が変換されなくなったため、byte の単位プレフィクスの変換が削除されました。
- ネットワークディスカバリおよびアクション条件において IP の範囲にスペースが使用可能になりました。
- ダッシュボードの “最新 20 件の障害” およびスクリーン要素の “ホストグループの障害” と “ホストの障害” において、トリガーの説明および URL のポップアップが実装されました。
- タイムナビゲータの最小期間が 5 分に設定され、選択を速くするためにより多くの定義済み期間が追加されました。
- 全てのアクションを POST 変数のみを用いて行うことが可能になり、全体のセキュリティが改善されました。
- Zabbix サーバおよび Zabbix プロキシに手動でのハウスキーピングプロシージャの実行をサポートするための実行時制御オプション (housekeeper_execute) が追加されました。この場合 1 つのハウスキーピングサイクルで削除される古いヒストリの期間は最後のハウスキーピングサイクルからの 4 倍の期間になりますが、4 時間より短くなったり 4 日より長くなったりはしません。自動ハウスキーピングプロシージャは設定ファイルの HousekeepingFrequency パラメータを 0 に設定することで無効にできます。
- デフォルトの設定ファイルがセキュリティおよびユーザビリティの改善のために変更されました。
- ポーラの設定キャッシュのロック数が 1/3 に削減され、負荷の高い Zabbix サーバおよびプロキシに対する視認性能が向上しました。また、ヒストリキャッシュおよびヒストリシンカが値でキャシュ溢れを起こしているアイテムをほとんど処理しないように最適化されました。
- アクションおよびアクション条件のインメモリキャッシュを導入することにより、アクション処理性能が大幅に向上しました。
- ハッシュメカニズムを用いることにより、トリガー式の評価処理が劇的に改善しました。また、その処理中の設定キャッシュのロックが複数回削減されました。
- nodata() 関数の計算が nodata() 関数で指定された範囲にデータベースのリクエストを制限するように改善されました。
- アクティブプロキシが Zabbix サーバに接続する際、このプロキシについての情報がサーバ設定キャッシュから検索されるようになりました (以前のバージョンではデータベースから直接検索されていました)。これにより性能が改善されデータベースのロードが削減されます。一方、アクティブプロキシの設定変更は現在即座に影響しません。サーバ設定キャッシュがデータベースと同期するまで待たされます (コマンドラインから強制することが可能)。
- ローメモリモードで実行される際、バリューキャッシュは 1 日に 1 回ノーマルオペレーションモードへの切り戻しを試みるようになりました。現在の処理モードは zabbix[vcache,cache,mode] キーでチェックされます。
- フォアグラウンドモードで Zabbix デーモンをスタートするためのオプションおよび標準出力へログ出力するための設定パラメータが追加されました。これにより Zabbix コンポーネントの docker 化が非常に単純化されます。
- Unix-like プラットホームと同様に Windows でも Zabbix エージェントがクラッシュの情報をログ出力するようになりました。
- Windows プラットホームで TCP 接続を確立する際に設定されたタイムアウトオプションが適切に適用されるようになりました。これは Zabbix エージェントキー :net.tcp.port、net.tcp.service、net.tcp.service.perf、web.page.get、web.page.perf および web.page.regexp に影響します。
- JMX インターフェースで 2001:db8::6c09 のような IPv6 アドレスが使用可能になりました。
- サーバがプロキシに送る全てのアイテムに “lastlogsize” および “mtime” が含まれるようになりました。これらのフィールドはログファイル監視のみに用いられるかどうかにかかわらず、現在全てのアイテムで送られます。
- ログファイルに出力されるメッセージに Zabbix サーバおよび Zabbix プロキシ間の入出接続の IP アドレスが含まれるようになりました。
- サーバ、プロキシおよびエージェントの設定ファイルで DebugLevel=5 を設定できるようになりました。
- データベースクエリが失敗した場合、database is down: reconnecting in 10 seconds のメッセージがログファイルに出力されるようになりました。データベースが上がった際には database connection re-established が出力されます。以前はこれらのメッセージは DebugLevel=2 で出力されませんでした。
- アイテムプロトタイプの IPMI センサおよび Unit フィールドでローレベルディスカバリのマクロが使用できるようになりました。
- 値のマッピングに HTTP レスポンスコードが追加されました。
- Zabbix Agent の Inetd バーションのサポートが削除されました。
- プロセスの CPU 使用率監視に proc.cpu.util アイテムが追加されました。このアイテムは Linux および Solaris プラットホームでサポートされます。
- デージェントのアイテム net.dns および net.dns.record に接続プロトコルパラメータが追加されました。許容される値は ‘udp’ (デフォルト) および ‘tcp’ です。
- Windows の net.dns および net.dns.record アイテムが内部 DNS リゾルバキャッシュにバイパスされるようになりました。
- Windows の net.if.* が利用可能であれば 64-bit カウンタから値を取得するようになりました。
- Linux 2.6.14 およびそれ以降のカーネルシステムの net.tcp.listen がカーネルの NETLINK インターフェースを利用するようになりました。
- proc.mem アイテムで 5 番目のパラメータ ‘memtype’ がサポートされるようになりました。(AIX、FreeBSD、Linux、Solaris のみ)
- Linux カーネル 2.6.24 と 2.6.33 およびそれ以降の system.cpu.util で ‘guest’ と ‘guest_nice’ タイプがそれぞれサポートされるようになりました。
- Windows の vfs.fs.discovery アイテムが可能な値 “unknown”、”norootdir”、”removable”、”fixed”、”remote”、”cdrom”、”ramdisk” を含む追加の {#FSDRIVETYPE} マクロを返すようになりました。{#FSDRIVETYPE} でフィルタリングされる場合、ローレベルディスカバリはこのマクロ無しのレスポンスを返す古いエージェントにより発見されたエンティティを無視することに注意してください。
- ODBC SQL クエリを用いたローレベルディスカバリをサポートするために、アイテム db.odbc.discovery が導入されました。
- snmptrap、log、logrt および eventlog アイテムでグローバル正規表現に対する有効なリファレンスのチェックが追加されました。誤字やリファレンスがないグローバル正規表現のせいで入力されたリファレンスが無効な場合、アイテムはサポートされず適切なエラーメッセージが表示されます。
- 特定の場合に実際のログファイルのメタ情報を送る、およびそれを Zabbix サーバ側で保持することによりログファイル監視 (log、logrt および eventlog) が改善されました。ログファイルのメタ情報には “lastlogsize”、”mtime” および “state” が含まれます。二重警告なしでログファイルを監視している間、安全に Zabbix エージェントのリスタートや Zabbix プロキシデータベースの削除が行えます。
- AIX の vm.memory.size[available] アイテムが未使用およびキャッシュされたメモリの合計を返すようになりました。Zabbix 3.0 以前は未使用のメモリサイズのみを返していました。
- Linux の vm.memory.size[available] アイテムが Linux カーネル 3.14 およびそれ以降で /proc/meminfo から MemAvailable (システムの固有の概算) を読み取るようになりました。Zabbix 3.0 以前は常に未使用、バッファおよびキャッシュされたメモリの合計となっていました。
- 指定されたユーザが存在しない場合、アイテム proc.mem および proc.num が 0 を返すようになりました。Zabbix 3.0 以前はこれらのアイテムはサポートされなくなっていました。
- NTP サービスをチェック可能なアイテム net.udp.service および net.udp.service.perf が追加されました。Zabbix 3.0 以前は NTP サービスのチェックは net.tcp.service および net.tcp.service.perf アイテムを用いて行われていました。データベースアップグレードパッチは自動的に NTP サービスチェックを変換します。
- Windows サービスのローレベルディスカバリのためのアイテム service.discovery が追加され、一方新しいアイテム service.info はサービスについての情報検索を手助けします。service.info アイテムは廃止された service_state アイテムの代わりに用いられるべきです。
- CephFS のアイテム vfs.fs.inode が 2 番目のパラメータが空や total 以外である場合、無効な数を返す代わりにサポートされなくなるようになりました。
- 内部チェック zabbix[host,,items] および zabbix[host,,items_unsupported] が追加されました。これらはターゲットホスト上のアイテム (サポートされていないアイテム) の数を返します。
- 一連の値の P 番目のパーセンタイルを返す percentile() トリガー関数が追加されました。計算アイテム、トリガー式および通知に用いることができます。
- logeventid()、regexp() および iregexp() トリガー関数にグローバル正規表現に対する有効なリファレンスのチェックが追加されました。誤字やリファレンスがないグローバル正規表現のせいで入力されたリファレンスが無効な場合、トリガーは unknown のステータスに切り替わり適切なエラーメッセージが表示されます。
- zabbix_get の終了コードが 0 (成功) もしくは 1 (エラー) になりました。以前のバージョンでは 0 (成功もしくはエラー) もしくは 141 (SIGPIPE) でした。
- Zabbix プログラムが –help オプションで実行された際のデフォルトの出力が追加されました。
- 多数の言語への翻訳が更新されました。
そのほか多くの改良が行われております。詳細は以下のページをご覧ください。
http://www.zabbix.com/rn3.0.0.php
https://www.zabbix.com/documentation/3.0/manual/introduction/whatsnew300
インストールおよびアップグレードについて
インストール
詳細はZabbixマニュアル(英語)を参照してください。
アップグレード
Zabbixバイナリを再コンパイルし、フロントエンドのPHPファイルを更新します。Zabbix 1.8.xからの移行の場合はデータベースパッチを実行します。詳細なアップグレード手順についてはZabbixマニュアル(英語)を参照してください。