本記事では、近日リリース予定のZabbix 4.0について新機能や改善点などについて解説していきます。
現行のLTS(長期サポート)版である3.0を使用されている方が多数だと思われますので、今回から3回に分けてZabbix 3.2、3.4、4.0の主な変更点について解説します。
Zabbix 4.0の新機能
Zabbix 3.2~4.0では以下の点を重視して機能追加が進められています。
- 複数の監視システムの情報を統合的に可視化するソリューション
- 障害の根本原因の分析を行うための高度な機能
- サービスを中心とした監視
可視化のための主要な機能であるダッシュボードやマップが大きく改良されています。また、「障害」ビューの新設により障害イベントの発生状況が時系列で分かりやすくなっています。
また、取得した監視データに対して外部スクリプトなどを使わずZabbixのみで加工を行える保存前処理機能や、障害イベントに対してタグ情報を付けてイベント同士を関連付けることのできるイベントタグ機能が追加されています。
その他、欲しい機能としてよく挙がっていた、障害の手動クローズ、ホストグループの階層化、復旧条件の指定といった運用に役立つ機能が追加されました。それ以外にも、内部的な設計変更による性能の改善や、様々な細かい改良が行われています。
旧バージョンとの互換性について
Zabbix 4.0サーバはZabbix 1.4~3.4のエージェントと互換性があるため、サーバのみ4.0にアップグレードして運用することが可能です。ただし、新しいエージェントに依存する機能は使用できないため、エージェントも4.0を使用することが推奨されます。
Zabbix 4.0プロキシはZabbix 4.0サーバとの組み合わせでのみ動作します。
Zabbix 2.0~3.4サーバからZabbix 4.0サーバへは、自動アップグレード機能により直接アップグレードすることができます。Zabbix 1.8以下については一度2.0に手動で上げてからアップグレードすることになります。
各バージョンの新機能、変更点の概要
3.2~4.0の各メジャーバージョンの主な新機能、変更点について以下に示します。詳細については個別の記事を参照ください。
Zabbix 3.2
- イベントタグ
- イベントにタグ情報を付け、イベント同士を関連付けたりすることができます。
- 「障害」ビューの新設
- 障害の状況が時系列で分かりやすく表示されるようになりました。
- 障害の手動クローズ
- ログ監視などで障害の状態を手動で正常に戻せるようになりました。
- トリガーのリカバリ条件式の追加
- 復旧の条件を独立して指定できるようになりました。
- ホストグループの階層化
- ホストグループ以下にサブグループを作成できるようになり、ホストをグループで管理しやすくなりました。
- Webシナリオのエクスポート/インポート
- 3.0までは非対応であったWebシナリオのエクスポート/インポートに対応しました。
詳細は「Zabbix 4.0の紹介 (Zabbix 3.2で追加された機能)」の記事を参照ください。
Zabbix 3.4
- ダッシュボードの改良
- レイアウトがより自由になり、複数のダッシュボードを切り替えられるようになりました。
- マップの改良
- マップの表示や操作性が改良されました。
- 通知の並列処理
- 複数の通知を並列で処理できるようになり、通知の遅延が改善されました。
- アイテムデータの保存前処理
- データの保存前に様々な前処理を行えるようになりました。
- Elasticsearchのサポート(3.4.5)
- 監視データをDBの代わりにElasticsearchに保存できるようになりました(experimental)。
詳細は「Zabbix 4.0の紹介 (Zabbix 3.4で追加された機能)」の記事を参照ください。
Zabbix 4.0
- アイテムデータの即時取得
- 取得間隔の長いアイテムやディスカバリデータで即座に値を取得することができます。
- HTTPエージェントアイテム
- HTTP/HTTPSプロトコルを使用してサーバから情報を取得するアイテムです。REST APIを提供するサーバから情報を取得し、保存前処理で必要なデータを抽出するといった使い方ができます。
- サーバ-プロキシ間通信の圧縮
- サーバ-プロキシ間の通信が圧縮され、ネットワーク帯域の節約および通信速度の向上が図られました。
- logrtのcopytruncate対応
- logrotateのcopytruncateでローテーションされているログに対応しました。
- イベント、ヒストリ、トレンドデータのリアルタイムエクスポート
- Zabbixサーバ上のファイルにデータをJSON形式で出力することができます。
- サーバ性能の向上
- その他多数のUIの改善
詳細は「Zabbix 4.0の紹介 (Zabbix 4.0で追加された機能)」の記事を参照ください。