SRA OSS

PostgreSQL 最新動向セミナーレポート

SRA OSS, Inc. 日本支社
マーケティング部 マーケティンググループ

■はじめに

当日の様子

当日の様子

2015年 10月6日(火)、PostgreSQL最新動向セミナー を開催しました。
セミナーでは、現在開発中の PostgreSQL 9.5 の最新情報、PostgreSQL用クラスタ管理ミドルウェア pgpool-II の最新情報、PostgreSQLにセキュリティと信頼性を追加した PowerGres Plus など、PostgreSQL に関する最新情報についてお届けしました。
70名の定員でしたが、多くの方にご参加いただきまして、おかげ様でほぼ満席となりました。ありがとうございます。

本レポートでは、その様子をご報告します。

■ PostgreSQL 9.5 はいつリリースされるのか?

PostgreSQL技術グループ グループ長 高塚遥

PostgreSQL技術グループ グループ長 高塚遥

最初のセッションは、マーケティング部 PostgreSQL技術グループ グループ長の高塚遥による、「次期メジャーバージョン PostgreSQL 9.5 の実力 徹底検証報告」です。

まず、PostgreSQL の開発体制について簡単に紹介させていただきました。
PostgreSQLは、特定のベンダーが開発しているのではなく、コミュニティ主体での開発を行っています。
したがって、万が一どこかの会社が開発を継続できなくなったとしても、PostgreSQL全体としては開発を続けられるため、より安定している、と言えるでしょう。

次に、PostgreSQL 9.5の開発状況とリリース時期についてお話しました。
こちらは、セミナー開催時点では、残念ながら確定していませんが、これまでの実績を踏まえた見通しとしては、2015年末か、2016年の初めのあたりになるのではと考えています。

■ PostgreSQL9.5の新機能

PostgreSQL 9.5の新機能の中から、7つの機能をピックアップしてご紹介しました。
行単位のセキュリティBRINインデックストランザクションの巻き戻しをするpg_rewindコマンド「挿入または更新」という処理に対応した機能外部テーブルのIMPORTや継承集計構文の追加JSONB型向けの関数や演算子の拡充、の7つです。
ここでは詳細を割愛しますが、詳細は、講演資料をご覧ください。
また、11月中に、PostgreSQL 9.5 検証レポートも公開する予定ですので、公開したら、そちらも参考にしていただければと思います。

会場からの質問も活発に行われ、「行単位のセキュリティについて、1つのテーブルに対してポリシーを設定した場合、複数のテーブルを結合した時にも、ポリシーは適用できるのか?」といった質問などがありました。

■ 透過的データ暗号化(TDE)が可能な、PowerGres Plus

PostgreSQL技術グループ 松坂大地

PostgreSQL技術グループ 松坂大地

次のセッションは、マーケティング部 PostgreSQL技術グループ 松坂による、PowerGres Plus のご紹介です。
PowerGres は、SRA OSS が PostgreSQL をベースに商用のデータベースという形で2003年から販売しており、10年以上の実績がある製品です。
その中でも、「PowerGres Plus」は、「Plus」とあるとおり PostgreSQL にはない機能を付与した製品となっています。

PowerGres Plus の特徴的な機能は、透過的データ暗号化(TDE)です。
暗号化・復号は自動的に行われ、アプリケーションの修正も必要ないので、すでに構築済みのデータベースにも適用しやすいです。
さらに、暗号化によるオーバーヘッドがほとんど無いということも大きなポイントです。
PostgreSQLで暗号化ができるソリューションはほかにもありますが、PowerGres Plus は、「性能への影響がほとんどない(オーバーヘッドが極小)」であることと、最も強固な暗号化方式の一つと言われる AES256 に対応していることです。
また、Oracle Databaseとの比較について質問されることが多いため、OracleのAdvanced Securityとの機能比較についてもご紹介しました。
一部の機能には対応していませんが、必要十分な機能を備えていると考えており、コストパフォーマンスを考えると、要件に合えば最善の選択となりうると考えています。
昨今、「マイナンバー」が話題になっていますが、これに伴い、データベースの暗号化の要件も増えていると感じており、PowerGres Plusも、既にマイナンバー関連のシステムで採用されています。

■ pgpool-IIの基本機能と最新情報

OSS技術グループ 長田悠吾

OSS技術グループ 長田悠吾

次のセッションは、「pgpool-II 最新バージョン 3.5 のご紹介」です。
こちらは、マーケティング部OSS技術グループ所属で、pgpool-IIの開発者である、長田からお話しをさせていただきました。

pgpool-IIは、PostgreSQLのクラスタ管を管理・活用するためのミドルウェアで、「PgPool Global Development Group」というコミュニティで開発をしているオープンソースのソフトウェアです。
オープンソースのライセンスは、BSDライセンスです。
SRA OSS のメンバーが、リーダーおよび開発者としてプロジェクトに参加しています。

pgpool-IIの1つの特徴として、「アプリケーション側からは1台のPostgreSQLのように見える」という点があります。
つまり、PostgreSQLを使っているアプリケーションは、そのアプリケーションを修正する必要はなく、pgpool-IIを利用できます。

機能は、性能向上のための「コネクションプーリング」や、「ロードバランシング」、「クエリキャッシュ」、可用性を提供するものとして、PostgreSQLの1台が故障してしまった時の、「自動フェイルオーバー」機能や、「watchdog」と呼ばれるpgpool-II自体を高可用化する機能、クラスタ管理としてダウンしたノードを回復する「オンラインリカバリ」や、pgpool-II自体が持っている「ネイティブレプリケーション」という機能があります。
また、アプリケーションから来たクエリを、複数のPostgreSQLノードに振り分けるという「クエリの自動振り分け」という機能があります。
本セッションではこれらの機能について簡単にご紹介させて頂きました。

■ pgpool-II 最新バージョン3.5のご紹介

次に、最新バージョン3.5についての紹介を行いました。
主な機能のうち、「PostgreSQL9.5対応」、「watchdog機能の改善」、「性能改善」、の3つについてお話させていただきました。
性能改善については、JDBCドライバなどで利用される拡張問い合わせがTPSで約1.5倍向上させることができました。
バージョン3.5は、この冬のリリースに向けて開発中です。
pgpool-IIについても、沢山のご質問を頂きました。ありがとうございました。

■「軽技 Web for PostgreSQL / PowerGres」で有効的なデータ活用の実現

富士電機 早坂直人 様

富士電機 早坂直人 様

最後のセッションは、導入事例のご紹介です。
富士電機 早坂様から、『「軽技 Web for PostgreSQL / PowerGres」で有効的なデータ活用の実現』についてご紹介を頂きました。

富士電機様は、エネルギー関連事業の会社で、発電社会インフラや、UPS、半導体等々を作っている、物作りの会社です。
身近なところでは、自動販売機が日本でシェアトップとのことです。
また、セブンカフェのコーヒーメーカーも製造しています。

軽技 Web」は、元々は、富士電機様の社内ユースから産まれたそうです。1
998年、日野に東京工場の生産管理システムのリプレースをする時に、帳票の削減や、工数の削減導入費用の削減等々を目的として生まれた、エンドユーザコンピューティングを実現するためのツールでした。
現在は、社内利用にとどまらず多くのお客様に利用いただいており、800社を超える導入事例があります。

軽技 Web for PostgreSQL / PowerGres」は、元々OracleやSQLServerなどの商用DBに対応していたものを、PostgreSQL、PowerGresに対応しました。
対応データベースの拡充により、より「軽技 Web」が利用しやすくなるものと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も、PostgreSQLをはじめとしたオープンソースに関するセミナーを企画してまいりますので、是非ご興味のあるテーマがございましたら、ご参加をお待ちしております。

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